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訪問看護の知識をいざスキルへ!第一弾 ~胃ろう管理編~

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みなさま、こんにちは!
ホームメディカルプラス「めどぷら」開発メンバー保坂です。

私は在宅医療に携わるようになって3年目、病院と在宅でのルールの違いや工夫、方法に迷ったり感動したりと色々ありました。

そこで、ここでは当事業所が経験したことであったり、実際に今はどのように看護・管理するのがベストだと言われているのかをお伝えできればと思います。
得た知識を看護に活かし、ご自身のスキルに落とし込んでいただけますと幸いです。
それでは、今回は看護の中でも胃ろう管理編!!
そもそも胃ろう管理をお伝えする前に、胃ろうとは何か、その適応や種類など基本的なところをおさらいしたいと思います。

1.胃ろうとは

胃瘻(胃ろうとも表記)やPEG(Percutaneous Endoscopic Gastrostomy経皮内視鏡的胃瘻造設術)とも言います。
胃ろうとは、胃を腹壁に固定する手技であり、瘻孔を造設して直接食事内容物を胃内に入れて栄養吸収を行う、栄養法における食事摂取方法の一つです。管理面の利便性から在宅や施設での生活では、胃ろうを造設し退院や転院をされる患者さまもおられます。

2.胃ろうの適応

この胃ろうを造設するにあたり、その手法が必要となる適応が以下の5つになります。

①嚥下・摂食障害

脳血管障害、認知症などのため、自発的に摂食できない
神経・筋疾患などのため、摂食不能または困難
頭部、顔面外傷のため摂食困難
喉咽頭、食道、胃噴門部狭窄、食道穿孔

②繰り返す誤嚥性肺炎

摂食できるが、誤嚥を繰り返す
経鼻胃管留置に伴う誤嚥

③炎症性腸疾患

長期経腸栄養を必要とする炎症性腸疾患(クローン病など)

④減圧治療

幽門狭窄、上部小腸閉塞などが原因で減圧が必要

⑤そのほかの特殊治療

もちろん、適応があるということは「禁忌」も存在します。

絶対的禁忌としては、胃ろう造設術は内視鏡を用いて行われる術式であるため、通常の内視鏡検査を受けられない患者(利用者)は禁忌となります。
そして、内視鏡が通過不可能な咽頭・食道狭窄がある、胃前壁を腹壁に近接できない場合もそうです。解剖学的のみでなく、補正が困難なレベルの出血傾向にある方も、手術実施により止血困難となるリスクが非常に高いため禁忌となっています。

3.胃ろうの管理

①種類と特徴

<長さ>
▷チューブ型
・胃ろうからチューブが出ており、栄養チューブ
と接続が容易
・自己、事故抜去のリスクが高い

▷ボタン型

・ボディイメージがいい(衣類で隠せる)
・逆流防止弁がある
・専用の接続チューブが必要
そのほか、シャフト長(胃ろうの長さ)が変えられない、ボタンが開閉しづらいなど

<胃内ストッパーの形状>
▷バルーン(風船)型
・交換が容易
・交換までの期間が短い(1-2か月で交換が必要)
・バルーン破損などのリスクがある(バルーン水は1-2週に1回入れ替 え必要)
・自己、事故抜去のリスクが高い

▷バンパー型

・抜けにくいため、自己・事故抜去のリスクが低い
・交換までの期間が長い(4-6か月に1回の交換)
・交換時に痛みや圧迫感がバルーン型に比べて強い

胃ろうを造設してすぐは、瘻孔確立(だいたい1か月ほどで形成すると言われています)やトラブルへの対応を行うため、バルーン型を採用している病院がほとんどです。
しかし、胃ろうを造設して施設へ転院、在宅医療へ切り替えるなどの場合は、交換頻度が低いバンパー型が採用されることが非常に多くなっているという現状があります。

②ケア方法

▷チューブ型

チューブ型の場合、瘻孔からチューブが突出しているため、経管栄養の際に簡便というメリットがある一方、チューブの伸展によって瘻孔に損傷をきたしやすいというデメリットもあります。
そのため、チューブが衣類や拘縮などの上肢によって引っ張られていないか、角度は問題ないかを確認しましょう。

▷ボタン型

ボタン型の場合、自己や自然抜去のリスクは非常に低く安全とされていますが、経管栄養のイリゲーターとの接続が慣れるまで、やりにくいなどのデメリットもあります。

また、体重の増加によって脂肪にうもれてしまい、それに伴う圧迫で褥瘡形成するリスクもありますので、胃ろうの可動域の確認や、ボタンによる皮膚圧迫がないかを確認しましょう。

▷バンパー型

バンパー型もボタン型と同様、胃ろうの可動域の確認やボタンによる圧迫がないか確認します。
もし、回転しないなど胃ろうが固定されている場合、『バンパー埋没症候群』といって、胃壁内で胃ろうが粘膜に埋もれ遺物形成している可能性があります。そうなると、胃ろうの再造設が必要となりますので、定期的な観察を行うことで早期発見につなげていきましょう。

③こんな時どうする?

▷胃ろうの自己・事故抜去!

認知機能の低下や、自然・事故により胃ろうが抜けてしまった場合は、すぐに医師に報告します。時間経過とともに、瘻孔がみるみる閉塞してしまい、再造設となってしまうことがあるからです。
医師の訪問を待つ間、瘻孔から胃内要物が流出してしまわないよう、ガーゼ保護を行うなどの配慮も大切ですね。

▷瘻孔に皮膚トラブルが!

その1:外部バンパーの圧迫による皮膚障害
(発赤、びらん、潰瘍、疼痛)

[ケア方法]シャフトの長さが短く腹壁との間にゆとりがない場合は、シャフト長の変更を検討する。
体重増加により圧迫がある場合は、体重と活動量に応じた栄養量へ変更

その2栄養剤や消化液の付着による皮膚障害

[ケア方法]栄養剤や栄養剤が付着したガーゼなどを長時間交換していない場合が多いため、漏れる原因を確認する。
例えば、瘻孔開大、胃が圧迫されて胃内圧が高い、胃の蠕動運動の低下、投与速度が早い、逆流防止弁や接続口の不具合など皮膚に撥水性クリームや皮膚被膜剤の塗布、あるいはハイドロコロイドドレッシング剤を貼付する(ストマのパウチのように)

びらんが生じている場合には、ストマ用粉状皮膚保護剤や、亜鉛華軟膏の塗布を検討する。

▷胃ろう交換後、初回の注入は気を付けて!

胃ろうはバルーン型であれば1-2か月おき、バンパー型であれば4-6か月おきの入れ替えがあります。
在宅で入れ替え、内視鏡下で入れ替えなど、様々な方法で入れ替えがなされます。安全に入れ替えを行っていますが、やはりそれでも状態や腹腔内の状況変化によって、胃ろうの誤挿入になるケースもゼロではありません。

そのため、入れ替え後の初回注入時、腹痛が増強する、嘔吐する、発熱する、循環動態が不安定となるなどの症状がみられた場合、腹腔内に漏出し腹膜炎を起こしている可能性があります。

入れ替え後に注入をご家族へ依頼するケースの場合には、注意すべき点を具体的に説明しておくことが大切であり、これらの症状がみられる場合には、看護師に報告してもらうなどの対応が重要です。

~まとめ~

栄養投与方法のためにも、必要な処置にもなってきた『胃ろう』。
在宅や介護施設での生活を支える一つのケアとして、適切に管理していきましょう。
管理する中で不明な点や、おかしいと感じた点があれば、指示医に早期に報告することも非常に大切になってきます。

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企画・執筆: 保坂恵里奈

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保坂恵里奈

訪問看護ステーション月 訪問看護師
看護師歴: 19年
保有資格: 救急看護認定看護師、日本DMAT・DMORT隊員、国際緊急援助隊医療チーム所属、ICLSインストラクター

訪問看護ステーション月 訪問看護師
看護師歴: 19年
保有資格: 救急看護認定看護師、日本DMAT・DMORT隊員、国際緊急援助隊医療チーム所属、ICLSインストラクター

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