訪問看護における緩和ケアとは?
みなさま、こんにちは。
めどぷら開発メンバー保坂です。
ここでは、近年よく聞かれるようになってきた「緩和ケア」について考えてみたいと思います。
緩和ケアの定義
まず、大切な定義についてお話しします。
1989年までの緩和ケアのWHOによる定義では「緩和ケアは治癒を目指した治療が有効でなくなった患者に対するケア」とされていました。
そのため、療養者や家族をはじめ、一般的にはまだまだ緩和ケアが誤解されていることが多く、医療者でも新しい定義を認識していないことがあります。
現在では、緩和ケアは発病当初からニーズに応じて早期かつ積極的に提供されるものとなっているのです。
緩和ケアの定義は下記に示す11項目
- 痛みやその他の苦痛な症状から解放する
- 生命を尊重し、死を自然の過程と認める
- 死を早めたり、引き延ばしたりしない
- 患者のためにケアの心理的、霊的側面を統合する
- 死を迎えるまで患者が人生を積極的に生きてゆけるように支える
- 家族が患者の病気や死別後の生活に適応できるように支える
- 患者と家族(死別後のカウンセリングを含む)のニーズを満たすた めにチームアプローチを適用する
- QOLを高めて、病気の過程に良い影響を与える
- 病期の早い段階にも適用する
- 延命を目指すその他の治療(化学療法、放射線療法)とも結びつく
- 臨床的な不快な合併症の理解とその対応の推進に必要な諸研究を含んでいる
引用文献:日本ホスピス緩和ケア協会:ホスピス緩和ケアの歴史と定義.
訪問看護師として、現在の定義に基づいた緩和ケアについて、きちんと説明できるようにする必要がありますね。人生の選択
根治か、延命か、症状緩和に徹するか、これらは「医学的診断」を基盤としながらも、その境界は必ずしも明確なものではありません。
どのような医療を受けてどのように過ごすかは、療養者やその家族にとって、どのように生きるかという「人生の選択」といえるでしょう。そこに正解はなく、葛藤もある中で、ほんの少し手を差し伸べて「選択の機会」を提供し、療養者と家族の選択の過程を支えていくことは、訪問看護師が担える大切な役割なのではないでしょうか。
国の指針により、在宅医療へのシフトやニーズが増加する中、在宅における「緩和ケア」をご利用者さまやそのご家族と共に適切に支援していくことの重要性が高まってきています。
医師と看護師の連携
そのような中、緩和ケアを行う中で必要なのは、医師や関係事業所との密な連携ではないでしょうか。先手の対応が行えることにより、ご利用者さまにとっても、医療を提供する医療関係者や介護関係者にとっても安心・安全な在宅医療・介護の調整が行えると考えています。
訪問看護において「人生の最期」を選択されたご利用者さまやそのご家族が、残された時間を穏やかに過ごすためには、医師と看護師の密な連携をスムーズに行うことが最も重要です。
在宅医療情報連携システム ホームメディカルプラス「めどぷら」は、時間に限りのある医師と看護師の連携を強化し、指示をスムーズに可視化することで、より安全に看護を提供することを可能にしたシステムです。
在宅医療の新標準《医師→めどぷら←看護師》
訪問看護において欠かせないアイテムとなる「めどぷら」を利用して、これからもより良いサービスを提供しましょう。
企画・執筆: 保坂恵里奈
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執筆者
保坂恵里奈
訪問看護ステーション月 訪問看護師
看護師歴: 19年
保有資格: 救急看護認定看護師、日本DMAT・DMORT隊員、国際緊急援助隊医療チーム所属、ICLSインストラクター
訪問看護ステーション月 訪問看護師
看護師歴: 19年
保有資格: 救急看護認定看護師、日本DMAT・DMORT隊員、国際緊急援助隊医療チーム所属、ICLSインストラクター