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「看取りケア」とは?現役訪問看護師がわかりやすく解説

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今回は、ご利用者さまやご家族の心に寄り添い、状態の変化に対して細やかに対応することが求められる「看取りケア」について説明します。

最期の時間を穏やかに過ごせるようサポートする訪問看護師としての心得とは。

ぜひ最後まで読んでいただけたらと思います。

「看取りケア」とは

全国老人福祉施設協議会看取り介護実践フォーラムによると、「看取り」とは、「近い将来、死が避けられないとされた人に対し、身体的苦痛や精神的苦痛を緩和・軽減するとともに、人生の最期まで尊厳ある生活を支援すること」を意味しています。

「看取りケア」とは亡くなられるまでの過程をただ見守るだけではなく、その方の人生観や価値観を尊重し、その人らしい終わり方を迎えられるよう全力で支えるという考え方が成り立っています。

基本的に無理な延命治療などを行わず、自然に亡くなるまでを支援します。

近年では、

  • 「残された時間を充実させる」
  • 「人間の尊厳を残して亡くなる」

などの個々の考え方が重要視されるようになっています。

また、家庭背景の多様化も踏まえ、個別性を尊重しながら、その人らしいお看取りに関わらせていただくケースもあります。

私たち訪問看護師は最期の時まで​その人らしく過ごしていただけるよう、ご本人とご家族の意思決定に基づいて「看取りケア」に関わります。

生活の質の向上(QOL:Quality of life=クオリティオブライフ)を目指して、家族や友人との時間を過ごすためにお手伝いをさせていただくこともあります。

また、ご本人とご家族様がやり遂げたいことがあれば、可能な限り全面的にサポートします。

穏やかに最期を迎えてもらう為に身体的なケアだけではなく、精神的・社会的な​支援を行​うことが「看取りケア」です。

「看取りケア」における重要な側面

次に「看取りケア」における4つの重要な側面について説明いたします。

1、心理的・精神的サポート

看取り期のご本人とそのご家族様は精神面が複雑な状態に陥ります。

そのために訪問看護師にとって重要なのは、コミュニケーション力と共感力です。

ご本人が抱える身体的苦痛と精神的苦痛や心配ごとを傾聴し、理解することが必要です。

「看取りケア」ではご本人やご家族様に対しての支援を行いますので、対象者はご利用者様だけでありません。

訪問看護師として多角的な視野を持ちサポートを提供することが大切です。

2、 苦痛と症状の緩和

看取り期においては痛みや、その他の身体的な症状が出現する場合があります。

看取りの主な目的は穏やかに最期を迎えることですので、苦痛と症状の緩和が重要となります。

ご利用者様の苦痛や症状を最小限にして過ごすことができる環境を提供することが、医師・訪問看護師の大きな役割となります。

「看取りケア」にとって安全・安心に日々の生活を送ることは非常に優先度が高いものです。

3、ご家族様へのメンタルサポート

在宅で看取りを迎えられるご家族様の心情については想像を超える精神的不安があると考えます。

精神的・身体的・経済的・社会的・スピリチュア的な各側面を考えて支援します。

その死をどのように受容するのかという個々の価値観や死生観が存在し、看取る立場にあるご家族様の思いが錯綜することも正常な状態であると捉えています。

揺れ動くご家族様の思いに寄り添い、万全のサポート体制が作れるよう医師や多職種がチームとなって情報共有して関わります。

4、ご友人や地域の方へ

「看取りケア」においてはご利用者様のご家族だけではなく、ご友人や地域の方のサポートが必要になるケースもあります。

ご本人やご家族様が必要であると考えられる場合などは周囲の人々に対しても情報提供を行う場合もあります。

最期の時間をいかに有意義にその人らしくすごしていただけるかに焦点をあてて支援します。

 

看取りケアの流れ

ご本人とご家族様の看取りに対しての想いを知り、その想いに寄り添えるように介入します。

決定した意思は状態に応じて変化する場合があります。

決定した意思が変化することも想定し、対応できるよう在宅医療チームは情報を共有し連携を図ることが重要です。

順番に説明していきます。

  1. 在宅医療チーム(看取りケアチーム)としての情報共有
    →まずは、ご本人・ご家族様・医師・歯科医師・看護師・薬剤師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・ケアマネージャー・ヘルパー・訪問入浴・福祉用具等、その他多くの職種が関わり連携します。
    適宜、カンファレンスを開催しその人らしい生活について協議を重ねます。
  2. 適切な訪問やサービス利用の提案
    →次に、その人らしい生活が送れるよう支援する中で、ご家族が全て自分たちでしなければならないという気持ちにならないよう、丁寧にお声かけし適切な訪問回数やサービス利用のご提案をさせて頂きます。
    また、どのような些細なことでも相談していただけるよう信頼関係の構築に努めます。
  3. ご家族・医師・看護・介護で多角的に観察し情報を共有する
    →日常的に傍におられる家族からの情報、医師・訪問看護師・ホームヘルパーなどからの情報を共有します。
    刻一刻と変化していく状態について把握します。
    〔昨日まで自分でお茶を飲めていたのに、今日は飲もうとしない〕などの情報は訪問看護師だけでは収集しきれない情報です。
    連携ノートや電子ツールを利用しながら、ご利用者さまの状態把握に努めます。
    何か少しでも不安なことがあれば緊急連絡を頂くよう常にお伝えし安心してもらえるよう関わります。
  4. 看護師から医師に相談する
    →さらに、訪問看護師は医師への報告が必要と判断した場合は、すぐさま医師と連携を図り指示を仰ぎます。
    全体的な情報を集約した上で医師が状態を判断し、医師の指示のもと看護師は必要なケアを実施します。
  5. 今後の予測を伝える
    →本人とご家族に対しては、不安なく過ごしていただけるよう支援します。
    残された時間の関わり方や、身体状態がどのように変化していくのか、などをご家族様にお話しさせてもらいます。
    お看取りについてのパンフレットを用いて説明する場合もあります。
    ご家族様には心の準備ができるよう支援します。
  6. 生命兆候が見られなくなった場合
    →呼吸をしていない、などの生命兆候がみられなくなった場合は慌てず落ち着いて、訪問看護に連絡をいただくことで対応します。
    訪問するまではご家族との時間を過ごしていただき、看護師が到着するまでお待ちいただくようお声掛けします。
  7. 生命兆候の有無を確認
    →看護師の到着後、ご家族からの情報を確認しお身体の状態を観察させていただきます。
    生命兆候の有無を観察し確認します。
    看護師により生命兆候が無いと判断したのち医師へ連絡します。
  8. 医師の到着を待ち死亡確認
    →医師の到着後、最終的に死亡診断が行われます。
    医師により生命兆候の有無を観察し、最終的に生命兆候を認めないと判断した時点で医師より死亡時刻が伝えられます。
  9. 家族様の立ち合いのもと最期の時を迎えます
    →最後に、自宅でお看取りですので、家族様が立ち会い、医師が死亡確認をします。
    また、ご自宅に駆けつけてくださる、その他のご家族も一緒に最期の時を迎え、ご遺体に手を合わせてお看取りさせていただくこともあります。

 

まとめ

いかがでしたか?

看取りケアは、ご利用者様やご家族の希望を尊重し、納得のいく最期を迎えて頂くために必要なサポートです。

看取りケアのサポートの他に、エンゼルケアというサポートもあります。
「訪問看護におけるエンゼルケア」をコラムで詳しく説明しています。
リンク→https://web.hmplus.jp/columns/717

ご利用者様の意思や尊厳を尊重し、気持ちに寄り添ったケアを心がけましょう。

他にも訪問看護について、在宅医療業界の業務や指示書についても、めどぷらのコラムで紹介しています。

ぜひ、ご一読いただければ幸いです。

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企画・執筆: 三田芳

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執筆者

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三田芳

訪問看護ステーション月 訪問看護師
看護師歴: 14年
保有資格: 終末期ケア専門士、看取り士、
災害支援ナース

訪問看護ステーション月 訪問看護師
看護師歴: 14年
保有資格: 終末期ケア専門士、看取り士、
災害支援ナース

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