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訪問看護やっててこれ悩む!!の巻 【在宅輸血編】

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みなさま、こんにちは!
めどぷら開発スタッフ、訪問看護師の保坂です。

私は在宅医療に携わるようになって3年目、病院と在宅でのルールの違いや工夫方法に迷ったり感動したりと色々ありました。

そこで、ここでは当事業所が経験したことを踏まえ、実際どうすることがいいのかを調査したことをお伝えできればと考えています。

今回は「在宅での輸血療法と副作用の対応編」!!

・輸血に関する病院と在宅医療

病院やクリニックなどでは、日常的に行われることが多い輸血療法の実施。
定期的な輸血投与の場合や緊急投与の場合など、状況はさまざまかと考えます。
通常の点滴とは違い、重要な製剤投与となるため緊張する方も多いのではないでしょうか。

私もキャリア20年近くになってもなお、輸血製剤の取り扱いには非常に緊張する毎日です。
ここでは輸血に関する病院と在宅医療とでの違いをお話していこうと思います。

・在宅医療における輸血の対象疾患

①慢性疾患(血液・悪性疾患、腎疾患、消化器疾患、通院困難で在宅療
養中の貧血等)

②終末期病態(個々の患者状況による)

とされています。

輸血の取り扱いについては、病院と同じであり適正な温度管理や投与方法についても決められています。訪問看護ステーションで保管することは禁忌とされていますので注意して下さい。
輸血投与の前には、必ず医師を含む医療従事者2名でロットナンバーや適合検査などの結果を確認します。

そして、投与開始時には5分後15分後の急性有害事象にも対応できるよう同席して観察する必要があります。

ここまでは、病院で実施する手順と同じです。

・在宅医療における輸血投与

ただし、その後1-2時間、もしくは3時間で投与する必要がある場合、訪問看護の場合では最長90分の訪問時間という時間的制約があり、終了まで同席することは困難な場合が多いです。

そのため、在宅医療における輸血投与の場合には、患者付添人(家族または介護者)の協力が必須となっています。

訪問看護師は、投与すぐの有害事象の発生がないことを確認し、患者付添人へ緊急連絡先を伝え一時退室します。突然の状態悪化に対応できるよう、近隣で待機しておくなどの対策も重要です。

輸血終了後の抜針や観察もあるため、輸血療法実施日は必ず2回訪問になりますね。

・輸血療法中の副作用(有害事象)

もし、在宅での輸血療法中に副作用(以下、有害事象)が発生した場合、皆さまはどのような対応をされていますか?
当事業所でも多くの輸血療法利用者さまの対応をしてきました。
有害事象においては皆さまご存じの通り、各ご利用者さまによって様々です。

在宅の場において、突然の有害事象の発生には準備性が非常に大事になってきます。
通常の訪問では有害事象に対応するための薬剤などもなければ、物品を取りに戻るなどのタイムラグが生じてしまい、救急対応に困難を極めます。
そのため、輸血を指示する医師と連携し、有害事象対応セットなどを用意しておいてもらい、すぐに対応することができるようにしておくことが重要です。

・経験事例

当事業所の経験事例では、毎週RBCを投与しており、RBCは長年投与されており、輸血には慣れていると思われる状況でした。しかし在宅輸血開始4週間目に突然全身蕁麻疹の発症、呼吸状態の悪化につながったご利用者さまもおられます。

そのほか、毎日血小板や週1回のRBCを投与していた方でも、開始直後は問題なく、終了時に再訪問した際に顔面蒼白・循環動態悪化がみられていた場合もありました。

まれなケースでもありますが、私自身もICU勤務時代に、輸血投与6時間後に輸血関連急性肺障害(TRALI)を発症し対応に困難を極めたケースもあります。

在宅で輸血療法を実施されるご利用者さまにおいては、長年輸血を経験されている場合も多く、有害事象において、『今まで問題なくいっていたのになぜ』と驚く場合もあります。

そのため、主治医とともにしっかりと情報共有を行い、有害事象発生時にはどのような対応を行うのか、その後の対応(救急搬送にするか在宅療養とするか)を細かく決めておくことも重要かと考えます。

・最も重要な「医師との連携」

当事業所は連携する医師と相談し、輸血実施の際にはご利用者さまの自宅に『輸血副作用セット』を設置してもらって、有害事象発生時には医師の指示を仰ぎながら、早期対応できるように準備を行っています。

しかしながら非常に迷うのが、終末期病態のご利用者さまの輸血時の状態悪化です。

在宅看取りを希望されているご利用者さまが有害事象を発生してしまった場合、救急搬送とするのか、そのまま在宅で医師とともに対応するのか・・・判断に迷う場面かと思います。

そのような時には、どう対応していくか、主治医や家族とともに密に情報共有を行いながら、ご利用者さまやそのご家族にとって、ベストな対応ができるようにしておきましょう。
参考文献:日本輸血・細胞治療学会.小規模医療機関(在宅を含む)における輸血ガイド
日本赤十字社.輸血療法マニュアル

医師との情報共有をしっかり且つ、敏速に行うために。

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企画・執筆: 保坂恵里奈

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保坂恵里奈

訪問看護ステーション月 訪問看護師
看護師歴: 19年
保有資格: 救急看護認定看護師、日本DMAT・DMORT隊員、国際緊急援助隊医療チーム所属、ICLSインストラクター

訪問看護ステーション月 訪問看護師
看護師歴: 19年
保有資格: 救急看護認定看護師、日本DMAT・DMORT隊員、国際緊急援助隊医療チーム所属、ICLSインストラクター

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